2009年8月24日月曜日

【8/24】原価って概念は深い


◆日記,会計
工場の偉い人に、スループット会計に基づいた採算性指標(スループット/制約条件時間)を紹介してみたが、
「で?ボトルネック工程の操業を最大にして収益の最大化を目指すのは当たり前じゃん」
との反応。
僕も、それはよくわかっている。だけど、これまで定量化できていなかったものを定量化したわけで、つまり、これまで直感で最大化しようとしていた工場の最大利益について客観的な管理や予測が可能になるのだけど、そんなことは全く既知の事という扱いだった。

…んー、どうすれば従来(直接原価計算+操業度)の思考方式に慣れた人を「おおっ?」と言わせることが出来るんだろうか。

従来の原価計算方式では、各製品それぞれが工程を通っていく毎にそこで費用を発生させ、それが各製品の原価となると考えるけれども、TOCではそうは考えない。
製品個別の原価は、ほぼ原料費のみと考える。
加工費はかなりの程度固定費であって、製品個別に発生していくわけではないと考える。
工場の総費用をボトルネック工程の操業時間で割って、ボトルネック工程一時間当たりのコストと考える。(製品の原価ではないよ)
これらの考えはかなり理にかなっていて、かつ事実に沿っていて、とても分かりやすいと思う。実際、充分に操業度が高いときは、年度通算した工場の総費用はあまり変化がない。だから、製品をたくさん作って売れば、製品一つあたりの原価は下がるような計算になる。(製品一つあたりの原価、というのがそもそも原価計算的思考法なのだけど。)
僕の説明は分かりにくいかもしれないが、TOCの考えはとても分かりやすい。

でも、従来の原価計算の思考法に慣れた人はこのTOCの考えを、分かりやすいとは思えないらしい。ボトルネック工程以外の工程の費用が個別に製品に付加されないのはおかしいと思うようだ。
まあ、それもわからんではない。目の前に機械があり、人がいて、動力を使って製品をこねくり回しておきながら、その労務費や機械の維持費や動力費が、その製品の原価ではないとはどういうことなのか。

そのあたりの認識ギャップを埋め、なおかつ制約条件時間当たりのスループットという指標が、実際に経営判断をするにあたり役に立つということを示せれば、TOC・スループット会計の利便性がわかってもらえるはずだ。


◆英語
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